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二刀流家庭医とは

ふさのくに家庭医療センターでは、患者の「病い」に耳を傾け、向き合っていくための一つの方法として「東洋医学」を積極的に活用しています。「東洋医学」の中でも特に医師が活用しやすい「漢方」と「鍼灸」に絞って実践しています。
「東洋医学」は、それを追求していくうちにややもすると「科学」からかけ離れた世界に埋もれていく危険をはらんでいます。そのため、「基本的にはどちらの医学の立場で診療をするのか?」を明確にする必要があると思います。
さらに、「患者中心の医療」を実践しつつ「東洋医学」を活用していくためには、「病い」の体験の追及だけではなく、「疾患」の体験の方も探りつつ対応していく必要があります。具体的には、症状を取ろうとする一方できちんと原因の追及をすること、NBMに加えてEBMも考慮していくことが大切です。
私たちは、必要に応じて「東洋医学」を積極的に活用しますが、基本的には「西洋医」としての立場を貫き、「東洋医学」はあくまでも「補完」という位置づけにしています。
私たちは、このようなスタイルの家庭医を“二刀流”家庭医と名付け、同様なスタイル家庭医を育成すべく「東洋医学」のトレーニングに重点を置いた特徴ある研修プログラムを作ってきました。
「東洋医学」とは、文字通りアジアを中心に東洋独自に発達した医学のことです。これらは、「西洋医学(現代医学)」が出現する以前にすでに確立されていた医学であり、「伝統医学」とも呼ばれています。
「伝統医学」には、有名なものとして「アーユルヴェーダ」・「ヨーガ」を始めとする「インド医学」、ギリシャ医学の流れを汲みアラビア系の医学として発達した「ユナニ医学」、そして「漢方」・「鍼灸」を中心とした中国の「伝統中国医学」があり、これらの3つをあわせて「3大伝統医学」といいます。これらの「伝統医学」は、およそ100年前に出現した「西洋医学(現代医学)」よりもはるかに歴史が長く、一番古い「インド医学」はおよそ5,000年以上の歴史を持っています。(「インド医学」と「伝統中国医学」の双方に影響を受けた「チベット医学」を含めて「4大伝統医学」ということもあります。)
日本において「東洋医学」という場合は、主にこの「伝統中国医学」のことを指していう場合が多いです。「伝統中国医学」とは、中国において、主に漢民族によって発展させられ、朝鮮半島や日本にも伝わってそれぞれ独自の発達を遂げた伝統医学の総称であり、英語では「Traditional Chinese Medicine(TCM)」と呼ばれています。
「西洋医学」が人体を「精密機械」として捉え、その異常を修繕しようとする発想のアプローチをしがちである一方、「東洋医学」は人体を「小宇宙」として捉え、そのバランスをとろうとするアプローチをする特徴があります。特に「東洋医学」は「不定愁訴」に代表されるような「未分化」な愁訴や「病い(体験)」への対応にその威力を発揮することができます。
我が国の「家庭医」は「東洋医学」を積極的に活用しようとする「積極派」の家庭医と、なるべく活用しないようにする「消極派」の家庭医とに分かれる傾向があります。「積極派」の家庭医は、「未分化」な愁訴や「病い(体験)」への対応にその効果を期待して活用しています。また、「消極派」の家庭医は「効果が懐疑的」であることや「EBMの確立が不十分」との理由からその活用をためらう傾向があります。
欧米では、「伝統医学」を活用して「西洋医学」に統合していこうという医学の一分野、「統合医学:Integrative Medicine」が一領域として確立されており、家庭医療からその分野に進む医師も一定数います。「伝統中国医学」のなかでも特に「鍼灸」については、かなり評価が高まっており、そのエビデンスを確立するための研究が盛んに行われています。現在は、とりわけ「西洋医学」的アプローチで限界を生じやすい「緩和医療」の領域においても「伝統医学」の活用に期待が寄せられており、「統合医学」は今後さらに注目を浴びていく領域であるといえるでしょう。
「漢方」とは、もともとは中国で「生薬」を組み合わせて用いて行われていた治療を体系化した経験医学です。「漢方」の用語は江戸時代、ヨーロッパ医学を「蘭方」と指すことに対して、いわれ始めたとされています。(中国では、生薬を一般的に「中薬」と呼び、「漢方」と呼ぶことはありません。)日本における「漢方」は、中国から「中薬」が伝わった後に独自の進化を遂げた部分もあるため、「日本漢方」や「和漢」などと呼ばれて中国の「中医学」とは区別されることが多いです。
「漢方」は、経験的に体系化された伝統的診断法によって、使用する生薬の選別と調合を行います。このように処方された生薬方を「漢方薬」といいます。
現在我が国で使用されている「漢方薬」の大半は、中国の古典である『傷寒論』及び『金匱要略』とを基本とした古い時代の処方に、日本独自のマイナーチェンジを加えたものです。その診断法は、脈診法や独自の腹診法が体系的に組み込まれており、現代中医学など大陸の伝統医学とは異なる独立した治療技法となっています。
「漢方薬」はもともと生薬をブレンドしてそれを煎じて作った「煎じ薬」が基本ですが、日本ではその「煎じ薬」の水分を飛ばして作ったインスタントコーヒーの様な「エキス剤」が開発されており、その活用の簡便さから、実に診療科を問わず7割以上もの医師が「漢方薬」の処方経験をもっているとの報告があります。現在日本では、約150種類もの漢方薬のエキス剤が保険適応となっています。(ちなみに台湾では現在約300種類ものエキス剤が保険適応となっているそうです。エキス剤を使用している国と地域は今のところ日本と台湾のみといわれています。)
「漢方」では、簡単にいうと人間の体の状態を「気」「血」「水」の巡りの3つの軸で捉え、そのアンバランスな部分をつきとめ、そのバランスを元に戻そうとする体の働きを助ける生薬の組み合わせを考えて対応していきます。「更年期障害のホットフラッシュ」や、「冷え」や「のぼせ」といった西洋医学的アプローチだけではなかなか解決しがたい愁訴に対しても、一定の効果が期待できます。
「漢方薬」は、家庭医が日常診療で遭遇するcomonnな愁訴のほとんどに対してカバーすることができるため、「漢方薬」を使いこなせると、それは家庭医にとって非常に強力な武器を持つことになると思います。
「鍼灸」とは、身体に鍼や灸を用いた刺激を与えることで、多様な疾病の治療や健康増進を可能とする医療技術です。中国の長い歴史の中で、身体へ加えた様々な物理刺激による治療的経験則の数世紀にわたる蓄積があり、これを技術論として構築した技法が「鍼灸:Acupuncture and Moxibustion」なのです。
「鍼灸」は近世まで、「漢方(生薬方)」と共に東アジア各国の主要な医療技術として発展してきました。特に17-19世紀の日本においては、「鍼灸」が独自の発展を遂げ、現在みられるような世界的な鍼灸活用と研究の基盤を築いたとされています。
(刺入時の痛みを軽減するため、「鍼管」という外筒を使って鍼を打つ道具も技術も日本で発展した独自のものです。)
1996年にセルビアで開かれたWHOの「鍼に関する会議」を基に、1999年、「鍼治療の基礎教育と安全性に関するWHOのガイドライン」が提示され約50の「適応疾患」が定められています。また、2006年にはWHOを中心に「経穴の国際標準化」が行われ、361の経穴(ツボ)の解剖学的位置が定められ、各経穴に国際標準の“コードネーム”が付けられました。
現在、「鍼灸」は欧米においても有用な医療技術として認識され、活用されています。世界では「漢方」よりもむしろ「鍼灸」の方がむしろ普及してきています。かかる医療費が安価なうえに一定効果が期待できるので、理学療法の一環のような位置づけの治療として、欧米では急速に広まっています。
「鍼灸」は「気」の流れるルートである「経絡」と、その反応点である「経穴」が存在するという仮説によって体系づけられている「経絡理論」に基づいて治療が行われています。簡単に言うと、人間の体を6面体のように捉え、そのどこの部分に「ゆがみ」や「異常」があるかを探し当て、そのバランスを正常に戻すための反応点を刺激して治療していく方法です。
「家庭医」の診療場面では、西洋医学ではもはや解決の難しい「慢性疼痛」などの愁訴に遭遇しますが、適宜「鍼灸」の治療を活用することで、それらの緩和に期待を持つことができます。また、近年は「ディスポ鍼」や「円皮鍼」といった比較的簡便に使用できる治療用具が開発されており、「家庭医」でもちょっとトレーニングを積めば、「鍼灸」治療を気軽に実践できる時代になってきています。

「患者―医師関係の強化」⇔「漢方・鍼灸の実践トレーニング」
~「家庭医」だからこそできる「東洋医学」研修のスタイルがある 

研修のコンセプト

「家庭医のセッティングで必要とされる」「安全で」「簡便で」「容易に習得でき」かつ「一定効果が期待できる」ような東洋医学の活用の仕方を「プライマリ・ケア東洋医学」と名付けて、その範囲内での実践・研修を行っています。
「患者―医師関係の強化」と「漢方・鍼灸の実践トレーニング」との間の「良好な循環関係」を大切にした研修が特徴です。

研修目標

漢方

1)保険適応エキス剤150種類を「家庭医」として遭遇するcommon problem に対して使いこなせるようになる。
2)漢方「煎じ薬」処方の基本を学ぶ。

鍼灸

1)ディスポ鍼と円皮鍼を用いて「家庭医」として遭遇するcommon problemに対応できるようになる。
2)Mテスト(経絡テスト)を診断・治療に活用することができる。

研修ステップ

漢方

  • STEP1

    西洋医学的「病名処方」レベルからスタート

  • STEP2

    Common Problemに対して「漢方薬」の適切な活用を実践できるレベルまで指導。

  • STEP3

    最終的には保健適用エキス剤(150種)を自由に使いこなせるレベルにまで指導。

  • STEP4

    興味のある方には「煎じ薬」の処方も指導

鍼灸

  • STEP1

    「トリガーポイント」に鍼を打つレベルからスタート

  • STEP2

    「経絡理論」に基づく鍼の打ち方を指導。

  • STEP3

    余裕のある方には「弁証法」に基づいて「臓腑の異常」に対応する方法も指導。

  • STEP4

    興味のある方には「耳鍼」など特殊な鍼や「灸」のプライマリ・ケアへの適用も指導。

東洋医学研修のshowcaseポートフォリオ

「漢方」は16、「鍼灸」は12、合計28のポートフォリオ・エントリー項目を設け、指導していきます。

漢方

①風邪の初期 ②こじれた風邪 ③咳 ④鼻水 ⑤咽頭痛 ⑥腹痛 ⑦嘔吐・下痢 ⑧便秘・痔 ⑨頭痛 ⑩耳鳴り・めまい ⑪更年期 ⑫冷え性 ⑬関節痛 ⑭腎・泌尿器 ⑮皮膚 ⑯精神不安定

鍼灸

①風邪の症状 ②頭部の症状 ③顔面の症状 ④首・項部・背部の症状 ⑤肩関節と上腕の症状 ⑥前腕と手の症状 ⑦胸部と精神の症状 ⑧腹部の症状 ⑨腰部の症状 ⑩大腿と膝関節の症状 ⑪下腿と足の症状 ⑫その他(経絡テスト・耳鍼等)

研修のオプション

千葉大学医学部和漢診療科に3年間研修登録することにより、「日本東洋医学会専門医(漢方専門医)」の取得を目指すことができます。
地域の連携鍼灸院(一心堂鍼灸院)で鍼灸の単位研修を行うことができます。

船橋二和病院/ふさのくに家庭医療センター 家庭医・診療所シニア研修プログラムver.2

日本プライマリ・ケア学会認定の家庭医療後期研修プログラムです。今までに8名のレジデントが研修しています。3年間の研修終了後「日本プライマリ・ケア学会認定家庭医療専門医」の資格取得ができます。研修期間中、最長6か月間千葉県内の他の家庭医療後期研修プログラムに乗り入れての研修が可能です。(ex.亀田ファミリークリニック館山、千葉大学医学部総合診療科など)※旧専門医制度での研修です

募集締め切り:12月末日まで

南浜診療所/ふさのくに“二刀流”総合診療専門研修プログラム

4年間の研修終了後「総合診療専門医」の資格取得ができます。僻地研修として6か月間六ヶ所村地域家庭医療センター(青森県)、また内科および医療資源の乏しい地域での研修としてさんむ医療センター(千葉県)で1年間の研修を行います。研修期間中、最長6か月間千葉県内の他の家庭医療後期研修プログラムに乗り入れての研修が可能です。(ex.亀田ファミリークリニック館山、千葉大学医学部総合診療科など)※新専門医制度での研修です

募集締め切り:12月末日まで

南浜診療所/ふさのくに家庭医療センター 在宅フェローシッププログラム

後期研修修了後の医師が対象の1年間の研修プログラムです。今までに2名のフェローが研修しています。研修終了後、日本在宅医学会認定の「在宅専門医」の取得ができます。

募集締め切り:12月末日まで

南浜診療所/ふさのくに家庭医療センター “二刀流家庭医”フェローシッププログラム 

後期研修を修了後の医師が対象の3年間のプログラムです。今までに1名のフェローが研修しています。家庭医療の現場で「東洋医学(漢方・鍼灸)」をいかに活用するかを習得していきます。研修協力医療機関とタイアップして「日本東洋医学会認定漢方専門医」の取得を目指したり、連携鍼灸院への単位研修などのオプションも準備しています。

募集締め切り:12月末日まで

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