2025.01.10 お知らせ
近年、潜在的な健康リスク要因として、PFASという物質が衛生環境分野で話題となっております。
プライマリ・ケア医として、臨床場面との関連についてまとめてみました。
アルキル鎖に複数のフッ素原子が結合した有機フッ素化合物を、ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物(Per- and polyFluoroAlkyl Substances)、通称PFASと呼ぶ。
強力な化学結合である炭素-フッ素(C-F)結合を持つため物質的に安定しており、生物体内でも分解されにくいことが特徴である。
1940年代にPFASが導入されて以降、撥水性・撥油性に優れた物質特性が生かされ、調理器具の焦げ付き防止のためのコーティング剤、カーペット、衣類の防汚加工、水性フィルム形成泡消火剤濃縮液、金属メッキ処理剤、焦げ付き防止包装等、家庭用品や工業用品に幅広く使用されていた。
従来は人体に無害と考えられていたが、近年、PFASのうち、ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)、ペルフルオロオクタン酸(PFOA) 等の一部の物質が人体の蓄積や健康への悪影響が生じることが判明した。
世界的に規制の対象になりつつあり、本邦においても2010年にPFOS、2021年にPFOAが「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)」の第一種特定化学物質に指定され、製造又は輸入の原則禁止、使用の制限が規定された。
2022年に全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)はPFASへの曝露、検査、臨床追跡に関するコンセンサス研究を発表した。
PFASの曝露によるヒトへの臨床的影響について十分なエビデンスが見出された。
南浜ファミリークリニックでは今後PFASの検査や相談外来を準備しています。
準備ができましたら、ホームページでご案内を予定しています。
文献1:Guide to PFAS in our environment debuts”. C&EN Global Enterprise 97 (21): 12.(2019-05-27)
文献2:“PFASに対する総合戦略検討専門家会議(第1回)配付資料2 PFAS の概況と今後の対応”. 環境省 (2023年1月30日). 2024年11月30日閲覧。
文献3:National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine. 2022. Guidance on PFAS Exposure, Testing, and Clinical Follow-up, The National Academies Press, 2022.
文献4:Rose H Goldman, MD, MPH. Overview of environmental health. Joann G Elmore, MD, MPH, (Ed), UpToDate. Waltham, MA: UpToDate Inc. http://www.uptodate.com (Accessed on Nov 30, 2024.)
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