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2023.09.13 お知らせ

センター長 コラム【インフルエンザとプリン】

インフルエンザとプリン

「女は独身時代、毎年冬に1回インフルエンザにかかった。
高熱を出すと3日は下がらず、母が氷水に浸したタオルで額を冷やし、父が冷たいプリンを買って食べさせるのだった。
やがて女は男と結婚し、東洋医学を専門とする医者の妻になった。
結婚して最初の冬、やはり女はインフルエンザにかかったが、男は額を冷やさず、プリンも体を冷やすからと食べさせなかった。
かわりに男は麻黄湯なる漢方薬を女に飲ませた。
その後女は汗をかき、眠ると朝には熱が下がっていた。
一晩でインフルエンザを治したと男は喜んだが、プリンが食べられなかった女は男に八つ当たりした。
男は慌てて冷たいプリンを買いに走った…」

まるで推理小説のような書き出しになってしまいましたが、これは実際にあった話です。
東洋医学では、インフルエンザのような急性発熱性疾患の治療においては、熱を下げるのではなく、体を温める治療を行います。
一見矛盾するような治療法ですが、東洋医学では、こういった病気の自然経過を「山登り」の様にとらえており、体を温めて熱を山頂まで一気に上げた後に、一気に下山するような要領で治療を行います。
登山を一気に終わらせてしまえば、病気があっという間に治るのです。

このように「体を温める治療」は、東洋医学独特のものであり、西洋医学では「がんの温熱療法」などを除いてはあまり見かけません。
現代の日本人女性の7割が冷え症であるといわれていますが、この冷え性に対しても、体を温める治療として東洋医学を用いた治療法が期待されています。
私は、患者さんの心も体も温かくしたいと思いながら、日々東洋医学を用いた医療を提供しています。

ところで、冒頭のエピソードで一番得をした人は誰でしょうか?
私はプリン屋さんだと思います!

ふさのくに家庭医療センター センター長松岡角英

こちらは全日本民医連発行のいつでも元気(2023年9月号)が都合に掲載された記事です。
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